タスクの優先順位を決めることは、プロダクトマネージャーにとって重要な責任のひとつです。機能やバグ、UXの改善、リファクタリングなど、常に終わりのないタスクのリストがあり、これらはユーザーのためのものであったり、競合他社に劣らないようにするためであったり、または開発環境のスケーラビリティを高めるためのものであったりと、目的はさまざまです。そして、これらはすべて今すぐにでも解決すべき問題なのです。

Reproでは、UXデザイナーがプロダクトマネージャーの役割も果たしています。プロダクトマネージャーは、製品戦略とロードマップを作成するために機能の優先順位を決め、それを最終的なビジネス目標に沿ったものにする責任があります。私は、デザインだけでなく、これらの優先順位付けを管理したり、特にユーザビリティに関する未着手のタスクの要件を書いたりしています。こういったことをする理由を紹介しましょう。

  • 総合的に管理できる 単にプロセスに影響を与えるだけでなくプロセスを実際に管理することで、総合的なコントロールが可能になり、プロダクトのUXを自分の理想とする正確な方向性に導くことができます。
  • より良い情報共有のフロー デザイナーとしての仕事だけに集中していると、正しい決断を下すための情報が十分に得られていないことがよくあります。要件を作成するにあたって、問題をすべて把握するためにもプロセスの経過を熟知しておく必要があります。
  • 高いコミュニケーション能力が得られる このようにすべての情報を管理する責任を持つことで、要請を依頼された背景や、解決策が出てきたときに考慮すべきポイントなどを理解するため、企業内はもちろん、企業の外までさまざまな人とコミュニケーションを取る機会が得られます。
  • 意識を高める そのタスクをやるべきか否かをプロダクトマネージャーやエンジニアと話し合う代わりに、自分で効率の良い方法を考えることができます。全員が、自分のやっている仕事がやるべきタイミングにできているという確信を持っている方がモチベーションは上がるでしょう。

Sathish Chanderのプロセスに基づいて、私は次の方法でタスクの優先順位付けを管理しています。

まずはじめに、タスクの重要度を決める必要があります。そこで、4つの項目を作り、それぞれの項目におけるタスクの点数を1~10点で付けていきます。

  • ユーザーニーズ そのタスクを実行することで、ユーザーにどのくらい直接的な利益がもたらされるか。これは、その問題に遭遇する可能性のあるユーザー数と、実際にあるリクエストの数に基づいて決定します。この際、定期的にユーザーと会う機会のあるカスタマーサクセスチームと再確認を行うようにしています。また、ユーザーにとって悪影響を与える可能性のあるタスク(収益を上げるためにダッシュボードに広告を表示するなど)は、減点します。
  • ビジネスニーズ コンバージョン率を向上させる、またはビジネスに直接効果を与えるタスク。
  • 技術ニーズ リファクタリングやコードのクリーンアップ、また、必要なフレームワークの実装など、今後の製品開発に役立つタスク。
  • その他のニーズ 分析やコードのマイグレーションなど。

次に、それぞれのニーズの重要度を決める必要があります。これは、企業の方向性や、その時に製品戦略のどの段階に位置しているかによって異なります。Reproではユーザーニーズが最も重要度が高く、50%以上を占めています。残りの50%は他の3つのニーズで構成されており、ビジネスニーズが最も低くなっています。Webメッセージのような新機能はプロダクトマネージャーによってロードマップに直接設計されており、別のエンジニアリソースが処理するため、私はこれらのタスクの管理をし、UXを向上させることだけに専念することができます。

以下の図は、タスクの点数とニーズの重要度を基にした計算式の例です。

これにより、それぞれのタスクの効果を数値化することができます。

次に、実装の複雑度を1~10点で点数付けしなければなりません。この点数は技術チームに付けてもらうのが理想的ですが、私はフロントエンドエンジニアに必要な知識があったため、定期的に技術チームにチェックしてもらいながら自分で点数付けをすることができました。おそらく、技術チームには、すべてのタスクを理解し実装の複雑度を付けている時間はないでしょう。そのため、ある程度の概算を出しておくことで、技術チームに次のタスク状況を確認してもらうことができます。

タスクの優先順位付けのランクを算出するため、数値化したタスクの効果を実装の複雑度で割ります。つまり、仮に複雑度が2であった場合、6.4÷2=3.2が優先順位付けのランクとなります。

効果(6.4)÷複雑度(2)=優先順位付けのランク(3.2)

スプレッドシートを使ってタスクのリストを並び替え、最初に取り組むべきタスクはどれかを確認しましょう。

サージ(Surge)

さらに、サージと呼ばれるものを実装しました。これは、Uberのピーク料金(Surge Pricing:悪天候などで乗車需要が急激に上がり、車両台数が足りなくなった時に料金が上がるシステム)からインスピレーションを受けたもので、ユーザービリティを特定の目標や方向性に導くための確実な要素があることを意味します。例えば、私は機能を追加することよりもバグのない環境を重視しているため、タスクがバグである場合は、そのタスクのランクに10%追加します。さらに、最近ではwebマーケティング市場にも参戦するため、webマーケティングに関連するタスクには20%を追加しています。このように、サージは企業の方向性や現在の目標に基づいて優先順位を調整するのに効果的です。

最後に

今回ご紹介した計算式は非常にシンプルで、かつ、優先順位付けをするのに正しい計算式というものは存在しません。状況に適した方法を見つけ、それに合わせて調整することが大切なのです。シンプルに、効果と労力を比較することから始めてみてもいいでしょう。あなたに合ったタスクの優先順位の付け方を探してみて下さい。

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著者について
Alex Kwa

デザインマネージャー、Repro
Repro創設時からデザイナーとして従事。
ディーター・ラムス、吉岡徳仁と深澤直人を敬愛している。
ストリートブランドSupremeをこよなく愛するノマドワーカー。