私がメンバーとして加わった頃、従業員は10名ほどしかいませんでしたが、ここ数年でReproは100名の従業員を抱えるまでに成長を遂げました。そして、その100名の大部分を占めているのがエンジニアチームです。Reproは、高いスキルを持ったフルスタックエンジニアを採用するために多額の投資をしてきましたが、ここ最近、私はフロントエンドに特化した専任チームを作る必要があるのではないかと考えています。

専任チームといっても、フロントエンドのみに特化したエンジニアだけで構成されるチームという意味ではありません。むしろ、その逆と言ってもいいでしょう。多くのユーザビリティ機能の変更はバックエンドが担当することになるため、このチームには、バックエンドの役割を理解しているエンジニアが必要不可欠です。

なぜ専任のチームを作る必要があるのか?

デザインと開発の間には、強い繋がりがあります。いくら優れたユーザーフローを考えついたとしても、それを実装するために必要な構造やリソースが欠けていれば何の意味もありません。もしデザイナーがアーティストだとすれば、フロントエンドにおける開発はそれを実現するための材料だと言えます。どんな材料があって、それを使って何ができるのか、そして何ができないのかを理解しておくことは、マスターピースを創造する上で必要不可欠です。

デザイナーである私がコードを書くことはありませんが、適切なデザインとエクスペリエンスがUIに正しく反映されていることを確かめる責任はあると感じています。それにはデザイナーとフロントエンドチームのコミュニケーションと協力が重要です。私は常にデザイナーはフロントエンドにおけるシステム、言語、そしてフレームワークの知識を最低でもエンジニアと同等のレベルで持つべきだと考えています。

では、なぜフロントエンド専任のチームを作る必要があるのでしょうか?

そのメリットをいくつかご紹介したいと思います。

専門性が高まる

フルスタックエンジニアは、いわゆる何でも屋です。彼らのほとんどは、複数の言語に精通しています。それに対して、専任のフロントエンドエンジニアは、最新のフロントエンドテクノロジーやメソッドに関する深い知識を持っており、それを提唱し、チームのメンバーに伝える役割を担っています。

フロントエンドとバックエンドを分けると、双方の責任の所在が明確になり、どちらかが優先されて他方に手が回らなくなるという状態を避けることができます。通常、バックエンドにおける作業はかなり複雑で時間がかかることが多いため、結果としてフロントエンドにおける作業時間が削られてしまいます。しかし、フロントエンドとバックエンドを分けることで、バランスよく作業が進められ、優れたUXの実装が可能になるのです。

より良いコア機能が実装可能に

フルスタックエンジニアだけで構成されるエンジニアチームには、コンポーネントの正しい使用方法を作成し、それを伝える役割の人物がいません。そのため、たまたま手の空いたメンバーによって行われることが多々あります。新しい機能に取り組んでいるエンジニアが、新しいコンポーネントの修正や作成を自ら進んでやろうとすることは滅多にありません。なぜなら、コンポーネントは専任のエンジニアによって作成されたものではなく、拡張性のある方法で作られていないため、変更が非常に面倒だからです。

チームが長期的かつ効果的に使用できるコンポーネントを作成、維持、そして改善するというタスクは、設計システムとUXについて深く理解があり、フルタイムで働けるエンジニアによって行われるべき、責任のある仕事だと言えるでしょう。

効率的な雇用

誰もが知っているように、テクノロジー業界においてエンジニアを雇うことは非常に難しく、特にReproのように複雑なツールのスキルを持ったフルスタックエンジニアであればなおさらです。

ひとつのタスクに対して1人ではなく2人の従業員が必要になるため、フロントエンド専任のチームを作るのは割高になると思う人もいるかもしれません。バックエンドエンジニアにフロントエンドのタスクを頼むことは簡単ですが、フルスタックエンジニアを雇う労力などを考えると、フロントエンド専任のエンジニアを雇う方が効率的であると言えます。

デザイナーとの協力がしやすくなる

デザインは、ユーザーフィードバックに基づいて適切なタイミングで繰り返し改善されなければなりません。そして、デザイナーとフロントエンドエンジニアの共同作業は、「ユーザーに最高のUXを提供する」という目標に沿って行われるべきです。

そのため、デザイナーは常にフロントエンドの実装に関する意見や知識を得て、それをある程度導くことができ、フロントエンドエンジニアは、そのデザインが実装可能なものかどうか、またその拡張性などについて意見を述べ、デザイナーにいくつかの選択肢を提供することができるようになる必要があります。この相互関係を実現することで、デザインに悪影響を及ぼす可能性のある問題を解決することができるでしょう。

デザイナーにとって、30人のフルスタックエンジニアで構成されたチームよりも、3人のフロントエンド専任のチームのほうが、新しいプロセスの実装やデザインのアイデアなどを伝えやすいことは明らかです。

すべてのプロジェクトに適しているか?

フロントエンド専任のチームを作ることのさまざまな利点を述べてきましたが、ここで、あなたのプロジェクトや製品が、専任チームを作るのに適しているかどうかを確かめるためのポイントを記述したいと思います。

規模

あなたのプロジェクトやスタートアップ企業が、まだ始まったばかりであったり、小規模である場合は、フルスタックエンジニアを雇うほうが費用対効果が高く、新しいアイデアを出すのに必要な才能を得ることができるでしょう。そうでない場合は、専任チームを作ることを推奨します。

複雑さ

複雑なプロジェクトでは、機能開発のすべてのプロセスにおいて専門的な知識とマネージメントが欠かせないため、専任チームが必要となるでしょう。

予算

フルスタックエンジニアを起用することで、低いコストで製品を開発することができます。しかし、製品のクオリティとスケーラビリティは、専任チームのある企業と比べて劣ってしまうでしょう。

クオリティ

質の高いUXを実現するには、それに匹敵する特別な努力と、チームの全面的な参加が必要です。あまりクオリティの高くないものでも、MVP(Minimum Viable Product)やコンセプトを伝えるだけであれば受け入れてもらえるでしょう。しかし、特別なソリューションを提供するためには、意欲的でモチベーションの高い専任メンバーが欠かせません。

専任チームを作るべきか否かは、あなたのプロジェクトの現時点での状況や、求めるクオリティによって変わるため、どちらが正しいとは言えません。どんな方向性を選択したとしても、優れたUXを提供したいのであれば、デザイナーとエンジニアの関係性の重要さを見逃してはいけないことは確かでしょう。

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著者について
Alex Kwa

UXデザイン、Repro
Repro創設時からデザイナーとして従事。
ディーター・ラムス、吉岡徳仁と深澤直人を敬愛している。
ストリートブランドSupremeをこよなく愛するノマドワーカー。
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